【解説】行政書士試験【令和元年度】問題34

時短教材(令和元年度)

問題34正解4
1(正)最判平成28年3月1日:少し長いですが重要判例なので、要旨を全て載せておきます。
1 精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。
2 法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,法定の監督義務者に準ずべき者として,民法714条1項が類推適用される。
3 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において,Aの妻Y1が,長年Aと同居しており長男Y2らの了解を得てAの介護に当たっていたものの,当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けており,Aの介護につきY2の妻Bの補助を受けていたなど判示の事情の下では,Y1は,民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない。
4 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において,Aの長男Y2がAの介護に関する話合いに加わり,Y2の妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながらAの妻Y1によるAの介護を補助していたものの,Y2自身は,当時20年以上もAと同居しておらず,上記の事故直前の時期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないなど判示の事情の下では,Y2は,民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない。
2(正)最判昭和56年11月27日
兄が、その出先から自宅に連絡して弟に兄所有の自動車で迎えに来させたうえ、弟に右自動車の運転を継続させ、これに同乗して自宅に帰る途中で交通事故が発生した場合において、兄が右同乗中助手席で運転上の指示をしていた等判示の事情があるときは、兄と弟との間には右事故当時兄を自動車により自宅に送り届けるという仕事につき、民法七一五条一項にいう使用者・被用者の関係が成立していたと解するのが相当である。
3(正)大判昭和3年6月7日
工作物の所有者は過失のない場合でも民法717条による損害賠償責任を負うから、工作物の設置または保存による瑕疵が前所有者の所有していた際に生じた場合でも、責任を負う。
4(誤)大判大10年12月15日
1 運送会社が汽笛に驚きやすい馬を、荷馬車の操縦に熟練せず普通人よりも劣つた者に取扱わせたのは、馬の保管に関し相当の注意を欠いたものである。
2 運送会社は被用者を占有の機関として馬を占有する者で、民法七一八条の占有者としての責任を負う。
3 運送会社の被用者が荷馬車をひくのは占有の補助機関で、占有者でも占有者に代つて保管する者でもない。
5(正)最判平成13年3月13日
交通事故と医療事故とが順次競合し,そのいずれもが被害者の死亡という不可分の一個の結果を招来しこの結果について相当因果関係を有する関係にあって,運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合において,各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯責任を負うべきものであり,結果発生に対する寄与の割合をもって被害者の被った損害額を案分し,責任を負うべき損害額を限定することはできない。

(使い方)

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