【解説】行政書士試験【令和3年度】問題8

時短教材(令和3年度)

問題8正解4
1(誤)最判昭和56年1月27日
 一 地方公共団体が定めた一定内容の継続的な施策が、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その特定内容の活動が相当長期にわたる右施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合において、右勧告等に動機づけられて右活動又はその準備活動に入つた者が右施策の変更により社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被ることとなるときは、これにつき補償等の措置を講ずることなく右施策を変更した地方公共団体は、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、右の者に対する不法行為責任を免れない。
二 村長が特定の者に対しその者が村内で行う工場の建設・操業に全面的に協力することを言明し、村有地を工場敷地の一部として提供する旨の村議会の議決を経由したうえ積極的に工場建設を促し、右特定の者は右協力が継続するものと信じて工場敷地の確保・整備、機械設備の発注等を行い、村の側もこれを予想していたなど、判示の事実関係のもとにおいて、右工場建設に反対する村民の支持を得て当選した新村長が、右特定の者に生ずべき多額の積極的損害について補償等の措置を講ずることなく、右工場建設の途中でこれに対する協力を拒否した場合には、右協力拒否は、やむをえない客観的事情が存するのでない限り、右特定の者に対する違法な加害行為たることを免れない。
2(誤)最判昭和62年10月30日
租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければならず、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たつては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示し、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになつたものかどうか、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責に帰すべき事由がないかどうか、という点の考慮が不可欠である。
3(誤)最判昭和53年6月16日
 個室付浴場業(いわゆるトルコぶろ営業)の規制を主たる動機、目的とする知事の本件児童遊園設置認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、個室付浴場業を規制しうる効力を有しない。
4(正)最判平成19年2月6日
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律又は原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づき健康管理手当の支給認定を受けた被爆者が外国へ出国したことに伴いその支給を打ち切られたため未支給の健康管理手当の支払を求める訴訟において,支給義務者が地方自治法236条所定の消滅時効を主張することは,(1)上記被爆者がその申請に基づき上記健康管理手当の受給権を具体的な権利として取得したこと,(2)法令上の根拠がないのに,被爆者が国外に居住地を移した場合に健康管理手当の受給権につき失権の取扱いとなるものと定めた違法な通達に基づき,上記支給義務者が支給を打ち切ったこと,(3)上記通達の定めは我が国を出国した被爆者に出国の時点から適用されるものであり,失権取扱い後の権利行使が通常困難となる者を対象としていること,(4)上記被爆者については上記失権の取扱いに対し訴訟を提起するなどして自己の権利を行使することが合理的に期待できたなどの事情が見当たらないことなど判示の事情の下では,信義則に反し許されない。
5(誤)最判 昭和50年2月25日
一、国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設若しくは器具等の設置管理又はその遂行する公務の管理にあたつて、国家公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負つているものと解すべきである。
二、国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は、一〇年と解すべきである。

(使い方)

  • 問題は、行政書士試験研究センターのホームページなどから御自分で用意してください。
  • (使い方)よりも上の部分をワードなどにコピーして使ってください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました